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本を読んでパンを焼く日々。

個性派パン職人の哲学を知る本

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今やパンブームで、娘の朝食ももっぱらパンです。
全国に多くあるパン屋さん。その中でも全国に名が轟くパン屋さんがある。
作り手のこだわりがモロに出ていて、アイデアが豊富なパン屋さんはやっぱり美味しい。
何を信念に、どんな想いでパンを焼くのか、そんな職人の哲学を知ることが出来るおすすめの本を紹介します。
よくあるレシピ本ではないけれど、パン作りの発想が学べる本たちです。
 
ブーランジェリータケウチ どこにもないパンの考え方】
ブランジュリ タケウチ どこにもないホームベーカリーレシピ

ブランジュリ タケウチ どこにもないホームベーカリーレシピ

 
大阪で驚異的な人気を誇ったパン屋さん、それがブーランジェリータケウチ。今は兵庫県でヒュッテとして生まれ変わっている。
小さなキューブ型の食パンを作ったり、オリーブパンを三日月型にして、食感の変化を楽しませたり、こういう風に楽しんで食べてもらいたいと思ってからパンを試作し始める。型がないなら型作りから、既存のパンとは違う発想で限界を突破する。それが一度食べたら忘れられないユニークで、インパクトのあるタケウチのパンに繋がっている。
私自身が思い通りの味にならなくて、試作を繰り返して心が折れそうになった時に救われた本です。
 
 
【cimaiのずっしり天然酵母パンともっちりイーストパン】 
cimaiのずっしり天然酵母パンともっちりイーストパン -オーガニック素材をいかしたオリジナルの生地作り-  (MARBLE BOOKS―daily made)

cimaiのずっしり天然酵母パンともっちりイーストパン -オーガニック素材をいかしたオリジナルの生地作り- (MARBLE BOOKS―daily made)

 
埼玉の幸手にひっそり佇む、小さなパン屋さん。姉妹2人で営んでいるが、それぞれ天然酵母のパン、イーストのパンと異なる手法で作っているユニークなパン屋さん。それぞれ異なる趣向のお店で修行をして、どちらかに寄り添うのではなくお互いの経験を融合してお店作りをする。出会いを大切にして、修行時代に知り合った小麦粉の生産者さんから小麦粉を仕入れる。楽しくパン作りをモットーに、空間や衣食住にこだわる姿勢は素晴らしいなと感じる。ここのレシピだと湯種の食パンをよく焼くが、本当にもっちりずっしりで美味しい。シンプルな素材で最大限旨さを引き出していて、まさに凛としてかっこいいパン。
 
 
 
【「365日」の考えるパン】 
「365日」の考えるパン 

「365日」の考えるパン 

 

 東京の代々木公園にある、雑誌の特集で必ず登場するパン屋さんが365日。オーナーであり、パン職人の杉窪さんは数多くのプロデュース店を手がけているアイデアマン。従来の製法の逆をいく作り方で、柔らかくモチっとした優しいテクスチャーのパンを作る。旨味を分解しないように発酵を最小限にし、ベンチタイムをとらない、グルテンを作らないなど、異端児でありながら理論に裏付けされたやり方をとることで求める味に近づける。その柔軟な発想で、面白いパンを作り続ける姿に背中を押されること間違いなし。

 
 
酵母パン 宗像堂】
酵母パン 宗像堂: 丹精込めたパン作り 日々の歩み方 (実用単行本)

酵母パン 宗像堂: 丹精込めたパン作り 日々の歩み方 (実用単行本)

 

 沖縄にある週3日だけ空いてるパン屋さん。宗像堂のパン全種類から、パンのレシピも載っているが、いわゆるレシピ本ではない。著者が宗像堂店主ではなく取材という形で出版されたこの本。客観的に描かれている分、その存在感がより理解でき、幅広い著名人をも虜にする宗像堂。陶芸家・大嶺氏や、農家・当真氏、デザイナー・皆川明氏、ミュージシャン・甲本ヒロト氏らとの対談も必読。写真がとてもよく自作の石窯で焼く姿は、パンを焼いてるだけではない と思わずにはいられない。

 
【ル・シュクレクールの本】
ル・シュクレクールのパン

ル・シュクレクールのパン

 

 大阪に店舗を構えるパン屋さん。不純な動機でパン職人になるが、不器用な性格でアッチコッチぶつがりながら成長するという半生が綴られている。もともとは著者のブログが過激ながらも人気となり、やや控えめにこちらの本を出版したという経緯がある。文章は確かに赤裸々で辛辣な部分もあるが、これくらい正直に、堂々と語れる方が潔いと思う。きっとその性格がまっすぐパンに出て美味しいんだろうなと思う。「パンは人をつなぎ、コミュニティをつなぐ」と語る著者。地元にあったらきっと迷いながらも行きたいと思うお店だ。