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本を読んでパンを焼く日々。

カンブリア宮殿 2019年4月11日

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倉庫の概念を変えた異色の経営者

 
ダンボール一個月250円から預けられる倉庫、ミニクラ。送料無料で専用のダンボールに詰めて送るだけ。なんとここでは預かるだけでなく、届いたものを1つ1つ写真撮影し、タグをつけてパソコン上で管理してくれる。何を持ってるか把握出来るし、それだけではない、預けた人は専用サイトでチェックして1点から返送してくれるし、そのままネットオークションに出品可能で落札されたら配送もミニクラにお願いできる。
 
そんな便利なサービスをやっているのが寺田倉庫。
 
天王洲にある寺田倉庫はさっきのミニクラとは違う手法だ!数億円の美術品まで預かるこちらの倉庫は内装がすごい!まるで映画のセットのようで、オーシャンズ11に出てくる銀行の金庫を彷彿とさせる。でっかい扉をグルグル回して開けるあれだ。見学に行った小池栄子も興奮しっぱなしだ。貴重品保管庫でのもっともセキュリティの高いサービスは生体認証が10段階もある厳重さだ。美術品保管庫では常に温度20℃、湿度50%という美術品とってもっとも保管に適した状態にしている。広さ5畳で家賃はワンルームぐらいだそう。ここでは美術館に貸し出す際の運搬やら管理も任せられるとのこと。行き届いてる。
ワインセラーもあり、ここでもワインに最適な温度14℃、湿度70%に保たれている。
さらに商談に使えるラウンジもあり、ソムリエまでいる。もはや倉庫の概念を超える。
 
そんな寺田倉庫を経営するのは中野善ひさ
 
7年前にトップになり、ただのゴミもアートにする目利きで、寺田倉庫改革。天王洲エリアに30平米の倉庫を持ち、この天王洲という街そのものを変えた。イベントスペースを作ったり、運河沿いに休憩スペースももうけ、運河には船の店舗も作り、人の集まる人気スポットにした。
「今までやってこなかったから難しいなどと言っていたら、永遠に革新は起きない」という中野さん。74歳とは思えないエネルギッシュで紳士なたたずまいだ。
 
遊び心がないと面白くないから、どうせやるなら面白くしたいと内装には想いを込める。
ソムリエを置くのも、付加価値というものは物だけでなく文化権も含まれるからワインにとっては必要な文化圏。
お金がかかってもいいからデジタル化にはこだわるという。本人が生きた記憶にもなるし、その人の文化観知ることが出来るから、データ化は大事。
 
そもそも中野さんは伊勢丹バイヤーを経て、台湾での事業などをやっていた。当時の経営者だった寺田さんとは古くからの友人であったが、様々な事業をやるも価格競争で苦戦し厳しい状況だった寺田倉庫。寺田さんが7年前に中野さんに経営任せたことから大改革が始まった。当時のことを振り返る中野さん。「1つとしてトップ3になる事業がなかった。」トップになるにはと考え、勝ち目のない事業を売却することに。そのために従業員を14分の1にした。もちろん売却先はなるべく従業員が誇りを持てる場所にと尽力した。
そして倉庫業強化をはかり、海外の富裕層に目をつける。物の価値を高める倉庫にした。
 
また人材育成もユニークだ。専用のコインを社員同士でやりとりし、ボーナスにつなげるというやり方だ。人事が管理をする。中野さんは言う「下の子の目は正しく、同僚の目はもっと正しい。成果が出てなくてもサボってる人や頑張ってる人は分かる」
そして5年ごとに仕事をどうしたらいいか辞めて他に行くのか自分で考えさせるという。
 
寺田倉庫が手がける電子楽譜もある。去年開かれた小澤征爾のコンサート使用されたグイドという電子楽譜世界で話題になった。この薄い電子楽譜に1万6000ページ分が入る。クラシックの楽譜はどれも分厚く、全部持ち運ぶことは出来ないし、1冊からたった1曲のために何冊も持ち歩く演奏家もいるそうだ。このグイドはその問題が解決でき、両手の塞がった楽器でも足のスイッチでページをめくることも出来る。書き込みも可能だから指揮者からの指示も、書いておくことが出来る。
この発明は他にも応用できるので、1万6000ページのノートだと思えば教科書もここに全て収まる。これ1冊で時代が変わるかもしれない。
 
人がやってないことをやる企業でありたいという寺田倉庫。ますます注目だ。