yumipenguin

本を読んでパンを焼く日々。

お腹が空いて、心が満たされるおすすめの小説

f:id:norider100:20190220105602j:plain

ご飯のシーンが出てくる小説って良いですよね。なんだか読んでるとあったかくなって、あー自分も何か食べようかなーって前向きになれる。ご飯って魅力的です。
食事シーンが魅力的な作家さんって、きっと日々を丁寧に生きてるんだろうなと思います。
 
 
キッチン (角川文庫)

キッチン (角川文庫)

 

【キッチン 】吉本ばなな

言わずと知れた吉本ばななさんのデビュー作。キッチンの空間が好きな人は多いのではないか。私は誰もいない、朝のキッチンでコーヒーを飲んでる時間が好きだ。主人公のみかげは肉親を失い、そこに寄り添ってくれたのが年下の青年の雄一。青年の母、えりこさんが素敵で、「だって私、体をはって明るく生きてきたんだもん。私は美しいわ。私、輝いている。」と言い切れる内面の美しさ。言葉の1つ1つが生きていて、ぐっと惹きつけられる。

 

 
 
スープ・オペラ (新潮文庫)

スープ・オペラ (新潮文庫)

 

【スープ・オペラ 】阿川佐和子

 独身35歳のルイ。女手ひとつで育ててくれた叔母さんが、還暦を前に突然恋に落ちて出て行く。1人残されたルイの家に、突然独身男2人が転がり込んでくる。初老でモテるトニーさんと、年下で気弱な康介。唯一の共通点はスープが好きなこと。全く接点のないもの同士がスープで繋がる。ちょっぴり辛口だけど、こんな幸せなことってあるのかと思わせるストーリーの素晴らしさ。楽しそうな食事の風景が彼らを繋げます。

 
 
 
センセイの鞄 (文春文庫)

センセイの鞄 (文春文庫)

 

 センセイの鞄川上弘美

センセイとツキコさん。偶然駅前の居酒屋で高校の恩師と十数年ぶりに再会したツキコさんの切なくもあったかい物語。それ以来、センセイと肴をつつき、酒を嗜み、キノコ狩りや花見に出かける2人。30も歳の離れた2人が過ごす時間は、穏やかで、心の充実とはこういうことかと思わずにはいられない。この小説を読むと強烈に日本酒が飲みたくなり、日本酒の美味しさを知るきっかけとなった本。

 
 
 
それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫)

それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫)

 

【それからはスープのことばかり考えて暮らした 】 吉田篤弘

路面電車が走る月舟町のお隣の町に越してきた青年。古い映画ばかりを流す映画館「月舟シネマ」とポップコーン売り、アパートの屋根裏に住むマダム、商店街のはずれにあるサンドイッチ店「トロワ」の店主と息子。登場人物が魅力的で、全体的におとぎ話の空気が漂い、ゆったりと丁寧に紡がれていく物語。サンドイッチの描写がたまらなく美味しそうで本にかぶりつきたくなる。

 
 
 
ヤッさん (双葉文庫)

ヤッさん (双葉文庫)

 
【ヤッさん 】原宏一
主人公のヤッさんはホームレスなのに、なぜか築地や銀座の一流レストランに顔がきき、むしろ試作の味見をしてくれと全幅の信頼を得ています。身綺麗にすることは必須で、男気溢れるヤッさんがとても魅力的で、出てくる料理も美味しそう。この作者はほかにもかなり風刺に飛んだ小説を多数書いていて、経済のことや社会情勢の勉強にもなるので、読んで損はないです。